夢の中の少女
 そう言っている間にも、信号は点滅し始める。

「だっだめ!」

 私は、彼女のうでを掴んで引き留めようと手を伸ばす。

「じゃあ、バイバイ!……りほちゃん…」

 最期に振り向いた彼女は、泣きながら笑っていた。
 え、…今私のこと、りほちゃんって…?
 私の手は、彼女のうでを掴んだ…はずだった。

 確かに私の手は彼女を捕まえたのに、すり抜けていた。
 …つかめなかったのだ。
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