夢の中の少女

「えっ…?」

 いつの間にかまた赤になっていた歩行者用の信号機。
 私の目の前を、トラックが通り過ぎた。
 ぼう然と立ち尽くす私の前には、あの少女の姿は無かった。
 ただ道路を、眩しい日差しが照らしているだけ。
 その時だ。
 …風に乗って、私の耳に小さな声が聞こえてきたのは。



『…しあわせになってね』


 それは、あの少女のそんな言葉だった。

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