幸せって、なに
 土曜日の三時頃、
アルバイトに向かおうとしている美沙希に
母が言った。

「ごめんね。
親が働かずに中学生の娘を働かせるなんて最低ね。」

「お母さん、気にしないで。
これからは美沙希が頑張るって決めたんだから。
また見つかれば働いてもらうし。」

ふたりで笑い合って出て来たが、
美沙希はこの頃の母の元気のなさが気になっていた。

以前みたいな心の底からの笑いがなくなって、
うわべの、つきあいだけの笑いになっていたのだ。

さっきもそうだった。
何処か陰りが見えて
具合でも悪いんじゃないかと思ってしまう。

全て取り越し苦労ですめばいいと願っていた。
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