幸せって、なに
 気がついたら病院の集中治療室にいた。

お母さん!
と呼び続けた後の事は何も覚えていなかった。

だけどただひとつ覚えている事があった。
お父さんに電話したのだ。

以前お父さんから電話があった時に
番号を写しておいた紙、
お父さんを忘れてお母さんと
生きていくと決めた時から捨ててしまおうと
何度も思いながら捨てられなかった紙。

そのお陰で今、
お父さんと連絡を取る事が出来、
お母さんは一命を取りとめた。

あともう少し発見が遅れていたら、
あともう少し傷が深ければ
生きてはいなかったかも知れない。

< 131 / 203 >

この作品をシェア

pagetop