幸せって、なに
 着替えなどの入院準備をする為に
ひとまず家に帰った。

私はまだパニック状態に陥っていて
何をどうすればいいのか戸惑っていたが、

父はまず、
居間の押し入れからカバンを取り出し、
下着の用意をするのに私と一緒に寝室に向かった。

ドアは開いたままになっていて
パステルグリーンのじゅうたんに染みついている血の色は
出来事の悲惨さを物語っていた。

私は母がお気に入りのピンクの下着を手に取り
寝室を飛び出すと
父も後に続きそっとドアを閉めた。

居間に行くなり父は
「お父さんが悪いんだ。
お母さんをここまで追い詰めたのはお父さんだ。
許してくれ、美沙希。」
しゃがみこみながら言った
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