幸せって、なに
 美沙希が二歳を過ぎた頃に
美世子が仲が良かった元山さんから、
知り合いの女性が僕の事を好きで
一度でいいから一緒に食事をしたい。

そう懇願しているので
何とか女性の切ない願いを叶えてあげて、
と頼まれた。

まだ若かった僕は悪い気がせず、
一度位ならと安易に承諾した。
もちろん美世子には内緒だった。

残業と偽り、わくわくした気持ちで
待ち合わせのレストランに行った。
女性はまだ来ていなくて、
気持ちを落ち着かせる為に
何回も水を飲んでいた。

「あの時と同じね。
緊張するとちょこちょこ水を飲むの。」
< 135 / 203 >

この作品をシェア

pagetop