幸せって、なに
やっと迷惑そうにドアが開いたのは
深夜の二時だった。

「いったい誰なの?
こんな夜中に。迷惑だわ。訴えるわよ。」

怒鳴りながらドアを開けて出て来たおばさんは
父の顔を見るなり驚いてドアを閉めようとしたが
父の手と足に邪魔され出来なかった。

「いつこっちに帰って来たの。
それに何の用なの?
こんな夜中に非常識ねえ。」

「非常識なのはどっちだ。
弁償しろと言うカップと絵を見せろ。
夜、救急車のサイレンの音を聞いただろ。
あれは美世子がそれを苦にして
自殺を図り運ばれたんだ。」

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