幸せって、なに
母は何も言わないけれど
何の反応もないけれど、
いつの日か笑顔で会話出来る日を夢みて
これからもずっと話し続けると決めていた。

ノックがしたので返事をすると戸が開き、
洗濯物の袋を持った父が入って来た。

「お父さん、美沙希ね、
今お母さんとお話してたの。
まだ何の反応もないけれど
きっと指をピクッと動かしてくれる時がくると思うの。」
微笑んで言う。
「お父さんもそうしてあげてね。
お母さん、本当はお父さんの事大好きなんだよ。」
茶目っ気たっぷりに付け加えた。

「美沙希もおませになったな。」
美沙希の頭を撫でまわして言った。

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