幸せって、なに
「ひどいのは俺だ。
何も知らなかった。
美世子や美沙希ばかりか
あなたにまで悲しい思いをさせていたなんて。
俺こそ死ぬに価する人物だ。許してくれ。」
父は頭を下げ続けた。

しばらくの沈黙のあいだ呆然としていた美沙希は、
やがてポツリポツリと話し始めた

「私、おばさんに手首を切らせるつもりなんかなかったの。
まして殺すつもりなんてなかった。
本当よ。

ナイフを持ってくれたら、
それで許そうと思ったの。
そうしてくれる事で反省してくれてるって分かるから。
なのにこんな事になって。
私どうしたら。」

美沙希の目から涙が溢れ出した。

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