幸せって、なに
でもそれも束の間の事で
心臓病でたった十日で死んじゃったの。
毎日泣いて暮らしたわ。」

娘は墓の前に座り手を合わせた。

「十日で死んじゃったの?かわいそう。」
混乱している頭の中に、
その言葉が引っ掛かり美沙希が言った。

「そう、たった十日。
でもまきえはそのわずかな生命で
色々教えてくれたわ。
命の尊さ、子どもを思う母心。」

しばらく沈黙のあと

「でもママは逆恨みの方に走っちゃったの。
まきえは生まれつき病気を持っていてすぐ死んだ。
なのに父親が同じ美沙希ちゃんは
こんなに元気に育っている。

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