幸せって、なに
最後に手にしたのが童話の幸福な王子。

これは小学二年の時、
母とデパートに行った時に
買ってくれたものだった。

あの光り輝いていた王子が、
貧しい人々の為に身を削って、
つばめが死ぬと同時に朽ちていく話。

それを読んだ後、
悲しくて泣いたのを覚えている。

次は、服を詰めていく事にした。
ジーパン、キャミソール、カーディガン、

どれを取り出しても
全て母に買ってもらったものばかりだった。

ダンボールも服もぼやけて見えた。
< 191 / 203 >

この作品をシェア

pagetop