幸せって、なに
この日も食事を終え、いつもの様に
先にお風呂に入った美沙希が早々にあがると、
ふすまが開いている居間で
母が電話している声が聞こえたので
思わず柱に近寄り耳をそばだてた。

「だから今更そんな事言われても。」
「私達どれ程辛い思いしたか
あなたには分からないのよ。」
「無理よ。もう二度と掛けてこないで、迷惑だから。」

そう言ったあと母が一方的に切ったみたいだった。

あわてて部屋に戻り、誰と話してたんだ?
母の言葉を思い出しながら真剣に考えた。
だが分からなかった。

結局その夜は勉強も手につかず、
その事ばかり考えて眠れなかった。

一睡も出来ないまま時計を見ると
午前四時だった。
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