幸せって、なに
「ありがとうございます。
そう言ってもらえるのが一番嬉しいです。」

母はトレーにのっているパンを
袋に一個ずつ入れながら答えた。

「クルミは美肌にいいって聞いたから食べているの。
クルミだけ食べるのは続かない気がするけど
パンの中に入っていると自然に摂れるの。」

主婦は手で頬をさすりながら笑った。

「お客さまの肌が綺麗なのは
そのせいだったんですね。
私もクルミ食べなきゃ。」

今まで意識しなかったが
言われてみれば綺麗な肌になった様な変わりない様な、
どっちかなと思って見ていると

「まあ、そんなに綺麗かしら。ふふふ。
これからも続けないとね毎日買いに来るわ。」

一層の笑顔で店を出て行った。
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