幸せって、なに
「すみません。本当に美味しそうで。」
これ以外言葉が浮かばなかった。

「石が美味しいの?」

「本当に申し訳ありません。
私、目が悪いのかも。」

「そうみたいね。いい眼科教えましょうか。」

そう言うや否や広げていた絵を片付け始めた。

「まあいいわ。私の絵がまだまだって事ね。」
「そんな事ないです。上手ですよ。」

題名を変えればいいと思ったが言葉にはしなかった。

こんな後にティーカップの話なんて出来ない
と判断し帰ろうとすると、
「お茶でも飲んで行って。
せっかく来てくれたんだから
ゆっくりして行ってちょうだい。」

さっきの事が無かったみたいに急に優しくなった。
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