幸せって、なに
「本当にお茶で悪いんだけど。」
「いえ、ありがとうございます。」

おばさんがお茶を
ひとくち飲んだところで言った。
「美沙希ちゃんが小さい頃、
絵を描いている私の横で
真似をして何やら描いてたわ。
最初は紙に描いてたんだけど、
そのうち壁に描いちゃって。
気付いた時にはもう遅くて消えないままよ。」

「じゃ、このらくがきは美沙希が。
すみません。」

憎いの文字について聞きたかったが、
喉まで出ていた言葉を
恐くて飲みこんでしまった。

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