幸せって、なに
「そうそう。この絵を見て。」
後ろを向いて戸棚に立て掛けてあった
五十センチ四方の女性画を
テーブルの上に出した。

「これは、
おばさんが描いた絵じゃないですよね。」
「よくわかるのね。」
「やっぱりそうですか。
絵のタッチが違うんですよ。」
ちょっぴり自慢気だった。

「これは、えーと、誰だったかしら。
とにかく有名な先生の絵なの。
あ、及川さんの湯飲みがこぼれたらいけないから、
もう少し絵をこっちに押してみて。」

ほんとだ。危ないところだった。
と、絵を押すと

「何するのよ!押し過ぎじゃない!!」
< 84 / 203 >

この作品をシェア

pagetop