一番星
 
「そーだよっ。最近何て言うか…楽しそうじゃん?」


「よく笑うようになったよね。」



追い討ちを掛けるような言葉。



…―あたしはまだ、あたしに変化をもたらしたあいつを、認めたくない。



「そうかなぁ……。」



無意識に口から出たセリフは、数秒前に口にしたのと同じものだった。



あたしは考える。



確かに自覚はしてる。


黒澤進也は、あたしの心を変えた。


というより、あたしの心に空いた穴を埋め始めている。



…―その屈託のない笑い方だけで。
 
< 20 / 32 >

この作品をシェア

pagetop