一番星
 
担任の目の前に立つと、あたしから聞く前に担任が口を開いた。


「河村さん、あのね…。」



担任は神妙な顔付きだ。


何を言われるんだろう…。


身に覚えがないことが、余計にあたしをドキドキさせた。



担任はゆっくり告げた。



「あなたこの前のテストの平均点…何点だった?」



…………………。


何も言えなかった。



記憶が苦手なあたしだが、覚えていない訳ではない。





だが、この顔付きの担任を前に…



…………26点。


だなんてとても言えなかったのだ。
 
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