エリート同期は意地悪がお好き
「…私がそう簡単に、はいわかりました。じゃあ、黒川部長付き合いましょう。なんて、言うと思いますか?」

そう言って微笑んで見せる。そんな私を見た黒川部長は、眉をピクリと動かす。

…ただの強がりだった。相手があまりに強敵すぎる。

常務や黒川部長にたてをついたところで、簡単に跳ね返されるだろう。

…どうしたらいい?

「…うちの朱莉がお世話になってます。黒川部長」

「…東城司」

司の名前を黒川部長が呟く。私は驚いて入り口に視線を向ける。

驚き顔の私を見て、司はフッと笑みを浮かべ、私の元へ歩み寄る。

…が、その笑みはすぐに消え、黒川部長に冷たい眼差しを送った。

「…今日の業務は終了していると思いますので、朱莉は連れて帰ります」

「…私の忠告は、無視、ですか」

黒川部長の言葉に、司はニコリと笑う。…目は全く笑っていないけど。

「…そんなことありましたっけ?」

なんて言う始末。

黒川部長は、いつもの優しい表情はどこにもなく、思いっきり、司を睨んだ。
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