エリート同期は意地悪がお好き
散々悪態をつきながら、何とか身支度を整えた朱莉。

そんな朱莉を面白そうに見ながら、いつものように一緒に出社した。

互いの部署に行き、それぞれの仕事を始める。

今日も、仕事は順調。新たな契約もとれ、増々仕事に身が入る。


「東城、ちょっといいか?」
「なんですか、部長?」

突然呼ばれたかと思うと、部長は俺を引きつれ、どこかに向かう。

…誰も通ることのない、通路で足を止めた部長。

「こんな所で一体何の話ですか?」

怪訝な顔で、部長を見つめる。


「今夜、7時からどうしてもしなきゃならない接待がある」
「…新たな契約を取るんですか?」

「・・・あぁ、そうだよ。私はどうしても別件で行かなければならない所があるから、東城に代わりに行ってほしいんだ」

「・・・はぁ」

「私より、営業センスは上だしな」
「…部長にはまだまだ負けますよ」

「…いや、そんな事はない・・・敷島亭は知ってるよな」
「えぇ。老舗ですね。そんないい所で接待ですか?」

「・・・ん?・・・あぁ、そうだ。だからくれぐれも時間に遅れないように頼むよ」

会話中、ずっと歯切れの悪い部長を不思議に思いながら、指定された場所へと向かった。
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