エリート同期は意地悪がお好き
「…待って、お父様」

2人の間に立ったのは、他でもない。希だった。

娘の一声に、専務は溜息をついた。

「…ここは、希に任せよう。私が出る幕でもない…だが、東城君、一つだけ言っとく。娘を泣かせるようなことだけは絶対するな。もし、そんなことがあれば、お前の籍は、会社にないと思え」

そう言って、専務は部屋から出て行った。

…この場にいても仕方がない。俺は再度、希に向かって言い放つ。

「…俺には、話はない、だから、帰るよ」
「待って!待ちなさいよ」

希が俺を睨んだ。

「…お前に俺が落せると思ってんの?」
「…ッ⁈」

冷たい眼差しで言う。希は涙目になりながら尚も俺を睨んでいる。

「執念深い奴は嫌いなんだ」
「…私は好き」

「…いい加減にしろよ?俺が本気で怒ったら、お前なんてのうのうと秘書なんてやってられねぇぞ」

「…平社員のくせに。私には逆らえない」

「…だったらな」

希を嘲笑うかのような笑みを浮かべ、俺は部屋を出た。

…その時、希はあり得ない行動に出た。
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