エリート同期は意地悪がお好き
・・・目が覚め、ゆっくりと目を開けると、久美の家ではなかった。

寝起きの為、今自分がどこにいるのかわからない。

目をこすり、ゆっくりと起き上がると、そこは。

「…司のマンション」

…そうなのだ。昨夜、私は確かに久美の家に行って、散々泣いて、久美に背中を擦ってもらってて。

いつの間にか、眠ってしまった。

…でもなんで?

「…起きたんだ」
「…司」

寝室のドアが開くと、私の顔を見てホッとため息をついた司がそう言った。

どうしたらいいかわからず、司から視線を逸らす。

「…昨日、あれから随分朱莉の事探した」
「・・・」

ゆっくりと、私に近づいてくるのが分かった。

「探してる途中で、久美から連絡が来て・・・久美は、朱莉の事心配して、家に泊めるって言ったんだけど、俺が無理やり連れ帰った。・・・よく寝てたから、起きなかったけど」

ベッドに腰を下ろした司は、私の手を握る。

私はビクッと反応して、咄嗟に振り解こうとしたけど、司は絶対離すまいと、握る手に力を込めた。

「…朱莉、聞いて」
「・・・何を?・・・何を聞けって言うの?」

言葉を発しただけで、涙がこぼれる。
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