エリート同期は意地悪がお好き
「…朱莉、浮かない顔してどうしたの?」

…ランチ中、私の顔を心配そうに見つめるのは久美。

「…何でもないよう」

そう言っておどけて見せる。

「…何でもない時は、朱莉はそんなにおどけたりしないよ!」
「…」

黙り込んだ私を見て、久美は溜息をついた。

「…司と仲直りしたんでしょう?それとも何?また、ケンカしちゃった?」

久美の言葉に首を振る。

…ケンカしたわけじゃない。

「…じゃあ、どうしたの?」
「…司ね」

「…うん」
「…この会社の跡取り息子だったの」

私の言葉に、流石の久美も、目を見開いて、固まった。

「…私何も知らなかった。…司がそんなに凄い人だったなんて…そんなに凄い人なら、私が傍にいちゃダメじゃん」

そう言って微笑んだのに、涙が頬を伝った。

「…朱莉」
「…ゴメン、先に戻るね」

涙を拭った私はまた力なく笑って、足早に社食を出て行った。
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