エリート同期は意地悪がお好き
「…久美が、久しぶりに映画観に行こうって」
「…今日は、結婚式の準備で式場に行ってるぞ」

…墓穴を掘ってしまった。

「…このままでいいから、話したい」
「…ぁ、お父さんは?こんな所でのんびりしてる暇ないんじゃない?」

「…朱莉」
「ね?ほら、そうと決まったら、早く準備「朱莉、聞け」

静かにそう言った司。私は唇を噛み締めた。

「…血が出るから噛み締めるな」

そう言われると、尚更噛み締めるてしまう、天邪鬼な私。

…そんな私の両頬を司の大きな手が包み込んだ。

「…逃げないで、ちゃんと聞いて。
…大事な事を秘密にしててごめん」

その言葉に、目が潤んで行く。

「…この事は、佐々木だけが知ってる。久美は知らない。自分が自分である為に、跡取りだという事を秘密にしてた。みんなと同じように入社試験を受けて…この会社で、俺が社長の息子だって事を知ってるのは、佐々木以外、社長だけだよ。だから、俺は自力でこの会社に入社して、自力で営業でトップを取った」
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