エリート同期は意地悪がお好き
あえて、そのハンカチには触れなかったが…

…朱莉は、自分の可愛さが、全く分かっていないから困りものだ。

そんな事を思いながら、部長の方へと足を進めた。

・・・・・・・・

・・・・。

それから、営業での仕事をこなし、午後7時に社長室での仕事。電話を片手に、説明を受けながら仕事をこなしていった。

今日の業務を終えたのは、午後10時を回ってからの事だった。

疲れた体を押して、帰宅する。…スペアのカードキーで鍵を開け、中に入ると電気は赤々とついていた。

…朱莉はまだ起きてるのか?

奥に足を進めると、テーブルの上には温かな夕食が用意されていて…それなのに、朱莉の姿がない。

「…朱莉?」
「…ん」

…そんな声が聞こえたのは、ソファーの方。足を進めると、ソファーの上で、猫のように体を丸め、スヤスヤと眠る朱莉の姿が。

その可愛い寝顔を見ただけで、疲れが取れる気がする。

「…朱莉、風邪引くから、ベッド行くぞ」
「ん〜」

寝ぼけたまま、朱莉は俺に抱き着いた。
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