エリート同期は意地悪がお好き
「…うそ〜!素敵です‼︎」
「…へ?」

司の隣にいた店員が黄色い悲鳴を上げた。私はキョトンと、店員を見つめる。

「東城様のお見立て通り!奥様!それでパーティーに出たら、男が放っておきませんわ!」

「お、奥様⁈」

…婚約はしたけど、まだ結婚はしていない。…それに何?男が放っておきませんわって⁈

困惑の視線を司に向ければ、司はハッと我に返り、クスクスと笑いだした。

「…司〜、何笑ってんのよ」
「…だってさ、店員さんがこう言ってくれてるんだから、それで行こう」

そう言うと、司は店員にクレジットカードを手渡した。

「え、あ、私が払うよ」
「バカなこと言うな。今回は急に連れてきたんだから、俺が払う。ほら、行くぞ」

「…司!」

カードを受け取ると、司はさっさと店の外へ。私は、慌てて後を追いかける。

車に乗り、司をチラ見する。

「…ありがと」
「…ん?ん〜」

「…これ、本当に大丈夫?変じゃないかな?ドレス負けしてる気がしてならないんだけど」

「…似合うよ」
「…ぇ」

「…綺麗すぎて、ビックリした」

そう言って微笑んだ司。…そんなに優しく微笑まれると、もう何も言葉は浮かんでこなくて…ただ、恥ずかしさで、司から視線を逸らすしかなく。

…そんな私の頭を優しく撫でた司は、クスリと笑っていた
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