エリート同期は意地悪がお好き
…会場に着いた私達。…司のエスコートにより、入場する。

…かなり恥ずかしいんですけど。

頬を染め、ちょっと俯き加減で歩いていると誰かが声をかけてきた。

「…女性同伴は、既婚者の人だけだと言ってたはずだけど」

…既婚者⁈

その言葉に驚き、顔を上げると、そこには黒澤社長が立っていた。

…いつ見てもスマートでカッコいい。

「…ぁ、斎藤朱莉さん、こんばんは」
「…ぇ、何で、私の名前」

名前を知られていることに又しても驚いてしまい…そんな私をクスクスと笑いながら、黒澤社長が私に告げた。

「…落し物ですよ」
「…あ!私の名刺ケース!」

「…これで、おあいこですね」
「…すみません、ありがとうございました」

そう言って微笑むと、名刺ケースが受け取る。

その手が触れ合うかどうかのギリギリのところで、司が先に名刺ケースを取った。
「…わざわざどうも」
「…相変わらず、私には厳しいな、司」

司の行動に苦笑いした黒澤社長。

「…優が、朱莉に触れるなんてあり得ない」

そう言って黒澤社長を睨んだ司。
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