エリート同期は意地悪がお好き
「…司、わざわざ拾ってくれたのに、そんな態度良くないよ」
「…」

「…重ね重ね、すみません、黒澤社長」
「…いいえ、いつものことなので、私は気にしませんよ。…今夜は、楽しんでいってくださいね」

それでは、そう言って黒澤社長はその場を離れる。…が、司が黒澤社長を追いかけた。

「…優」
「…何ですか?」

「朱莉に近づいて、何をしようとしてる?」

「…全部、偶然だよ司。…今夜だって、まさか、彼女がここに来るとは思わなかった」

「…嘘つけ。来ると思ったから、あの名刺ケースを持ってたくせに」

「…察しがいいな」
「…優、お前⁈」

…何やら言い合いしているけれど、少し離れたところにいる私には内容がわからなかった。

「朱莉だけは、優には渡さない」
「フッ…取られたくなければ、さっさと結婚することだな?そうでなければ、いつでも奪いに行くよ」

…しばらく睨み合い、そしてようやく私の元に帰ってきた司。…それは、それは、不機嫌な顔で。
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