エリート同期は意地悪がお好き
「…黒澤社長」
「…何ですか?」

私を真っ直ぐに見つめる黒澤社長。

「…貴方も、司くらい…いえ、それ以上に意地悪ですね」

そう言って、黒澤社長を睨む…が、黒澤社長はニコリと笑い。

「…ぁ、バレました?私は、司を苛めるのが、生き甲斐なんですよ」
「なっ⁈…司を苛めたら、私が許しませんよ!」

今にも食ってかかりそうな勢いで、黒澤社長を睨む。

「…頼もしい婚約者さんだな、朱莉さんは」
「貴方に、朱莉さんなんて呼ばれる筋合いはありません!」

…大事な取引先の社長だということをすっかり忘れ、私は、黒澤社長にあっかんべーして、その場を離れた。

…黒澤社長にわらわれてるとも知らず。

…テラスに出て、冷たくなった風に当たり、ハッとする。

…大事な取引先社長に、何てことをしたんだろう、私は。

そう思っただけで、血の気が引く。

…どうしよう。今後の取引が、全て無効になったら。
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