エリート同期は意地悪がお好き
準備が出来た私を待っててくれた司。玄関を出て鍵をかける。

…カードキーなんて、生意気な。

「・・・ほら」
「・・・ん?」

そのカードキーを私に差し出した司。私は首を傾げる。

「鍵がないと家に入れねえだろ?」
「・・・あ、うん」

「ボケてるよな、おまえ」
「・・・う」

司の言葉に怪訝な顔をする。

「それ私に渡したら、司の鍵は?」
「あ?あ~・・・カードだから、スペアなんてない。どうせ、俺の方が帰りが遅いんだから、お前が持ってる方がいいだろ?」

「…そうだけど、私の方が遅かったら?」
「それは絶対に許されない」

「・・・」
「主人を待たせるような事があったら、お仕置きしてやるからそのつもりで」

そう言って微笑んだ司だが、目が…全然笑ってないよ?・・・怖いよ、その顔。

私は顔を引きつらせた。

…渋々頷いた私に満足した司は、駅に向かって歩き出す。

昨晩は暗かったし、周りを見てる余裕なんてなかった。

最寄駅までの道のりを司は説明しながら進んでいく。

「これ一回で覚えろよ。・・・迷子なんてありえねえからな?」
「…そんなに方向音痴じゃないわよ」

そう言ってふて腐れた。
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