エリート同期は意地悪がお好き
「…朱莉ちゃんとは、順調か?」
「…」

入社して以来、何の進展もない俺と朱莉のことを、こうやってからかうのが、佐々木の日課らしい。

俺は、無言で佐々木を睨んだ。

「これだけモテるお前が、朱莉ちゃんの事になると、てんで駄目とか笑えるよな」

「…煩いな」

…この前から、一緒に住んでる事は、佐々木には言ってない。

まぁ、付き合い始めた訳ではないから、言える訳がない。

「…で?いつになったら、告白するんだよ?」

「…そのうち」

「…やっと彼氏と別れてフリーになったんだぞ?今動かないで、いつ動く?さっさとしないと、他の男に持ってかれるぞ」

…そんな事言われなくてもわかってんだよ。

「朱莉ちゃん、あれで結構モテるからなあ。可愛い顔してるし、…胸デカいし?」

「…⁈バカ!どこ見てんだよ?久美に言うぞ」

佐々木の頭を叩きながら言う。

「お好きなだけどうぞ〜。久美には、毎日のように言ってるから、もう聞き飽きてるぞ」

…コイツ。
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