エリート同期は意地悪がお好き
「…さっさと仕事に戻りやがれ」

そう言って足を蹴る。

「はいはい、戻りますよ。せいぜい頑張ってゲットしろよー」

もう蹴られるのは御免と言った佐々木は、早々に退散した。

…食器を片付けオフィスに戻ると、先に戻っていた朱莉が同じ部署の男と仲良く談笑中。

…やっぱり気に入らない俺は、朱莉のデスクの上に、ドサッと書類の束を置いた。

「…何これ?」
「仕事に決まってんだろ?」

それだけ言うと、悪魔の笑みを浮かべる俺。

朱莉は、明らかに怒った顔をして、俺を睨む。

「…鬼!」
「…はいはい」

「…悪魔!」
「なんとでも」

そう言ってニコッと笑うと、その視線は男に向けられる。…その笑顔は、とても冷たく、男は苦笑いを浮かべ、自分のデスクに戻って行った。
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