エリート同期は意地悪がお好き
そう言った司は、事もあろうか、私を抱き寄せたではないか。

一瞬驚き、離れようとしたが、司はそれを許さなかった。

「…怖かったな・・・大丈夫だったか？」

…いつも意地悪しかしてこない司が、今日に限って超優しい！！

私の涙腺を壊すには十分すぎるくらいの優しさだった。

災難だらけの私は、司に抱きついて泣きじゃくった。


「怖かった～…全部無くなっちゃった～…これからどうしよう」

泣きながら言葉を紡ぐ。

「彼氏は？そこ行けばいいじゃねえか」
「…別れた…て言うか、フラれた」

「は？！・・・いつ？」
「…たった今」

それ以上、もう何も言葉は出なかった。もう、本当に死んでしまいたい。何もかもメチャクチャだ。

…きっとこの世に神様なんて存在しないんだ。

泣き続ける私を少し離して、司が言った。

「…とりあえず、ここにいてもどうしようもないし、行くぞ」
「・・・え？」

涙でぐちゃぐちゃな顔のまま、司を見上げる。

「…スッゲ―ブサイク」
「・・・・殺す」

そう言って睨むと、司は笑って、私の手を引っ張って、歩き出した。

…一体どこに行くのだろう。
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