エリート同期は意地悪がお好き
勢い良くドアを閉め、自分とドアの間に私を挟んだ司。

両手に阻まれて、どこにも逃げ場はない。

「…なにすんのよ!この手をどけて」
「…俺のキス、そんなに嫌だった?」

「…」

切なげな顔で、私を見下ろす司。

そんな顔で見られたら、なんと言ったらいいのか、言葉が見つからない。

「…俺の事…嫌いか?」
「…それ、は」

「…朱莉は、黒川部長が好きなのか?」
「…え?」

何でここで、黒川部長の名前が出てくるの?

「俺といるより、黒川部長といる方が、女らしいっていうか…」

そう言って、司は俯いた。

「…黒川部長は苦手」
「…え?」

俯いていた顔が、パッと上がる。

「…何でだろ?…司以外が私に触れるのが嫌なの」

「…今、なんて言った?」

…何気にすごい事を言ってしまったような。

私はバツが悪くて、司から視線を逸らした
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