エリート同期は意地悪がお好き
・・・着いた所は、メッチャ高そうな高級マンション。オートロックで中にはロビーがあり、管理人が座っている。

「ここ、どこ?」
「…ん?…ここ、俺の住んでるマンション」

平然と答える司に怒りさえ湧きあがる。
…だって、私たちは同期で、しかも同じ営業部…違いがあるとすれば、エリートコースまっしぐらの司と、営業部でも、オフィスで事務しかしてない平社員の私。

・・・きっと、給料だって、雲泥の差なんだろうと、痛感してしまう。

「…司のくせに」
「…お前と一緒にすんな。仕事量が違う」

「・・・」

返す言葉もありません。

リビングのソファーに私を座らせた司は、キッチンに行く。

「コーヒーと、紅茶と、ココア、どれがいい?」
「・・・色々あるんだね」

「ん~・・・気分で飲みたいものが変わるから・・・で?」
「…あったかいココアが飲みたい」

「了解」

静かな部屋の中、私は独り、落ち込む。

家が無くなり、5年も付き合った彼氏に振られ、私はこれからどうすればいいんだろう。

考えただけでも、涙が出る。

「…ほら、これ」

ココアをいれてくれた司がスッとマグカップを差し出す。

「・・・ありがと」

私は力なく笑って、それを受け取った。
< 5 / 172 >

この作品をシェア

pagetop