エリート同期は意地悪がお好き
「営業部は好きだけど、もうちょっと女の子がいてくれたらなあ」

咄嗟に私は話しを逸らす。…だってそうでもしないと、本当に、毎日、黒川部長とランチを食べる羽目になってしまいそうだから。

「…なんなら、部署異動したらどうですか?」
「・・・え?」

…思ってもいない言葉だった。

「斎藤さんは、事務行がかなり得意ですから、移動願い出したら、欲しいと言ってくれる部署、沢山ありますよ」
「・・・え、そうですかね?」

「本気で考えてるなら、いつでも相談にのりますよ、だてに人事部長やってませんから」
「・・・そうなった時は「そうなる事なんて、ありえませんよ」

私が言いかけたところで、違う声が重なった。

私と部長は、驚きながら声の方を向くと、私たちと同じテーブルに、声の主は、不機嫌な顔で座った。

「…司、社食でランチなんて、珍しいね」

・・・そう、声の主は、司だった。外回りから帰って来たのだ。


「誰かさんが一人ぼっちだから、一緒にランチとってやってくれって連絡が来たんだけど、…気にしすぎたな?」


そう言って微笑んだ司だったが、・・・目が笑っていない。

私は、作り笑いを浮かべ、肩をすくめた。

「…外回り言っていたのなら、外でランチしてくればよかったんじゃないですか?」

…そう言って微笑んでいるのは、黒川部長。


…二人の視線がぶつかっている間で、何やら、火花が散って見えるのは、私だけだろうか?

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