エリート同期は意地悪がお好き
その謎は消えないまま、定時になった朱莉は、仕事を終え、帰宅した。

…帰ったら聞こうと決め、残りのデスクワークに励んだ。

…午後8時。ようやく仕事を終えた俺は、帰宅を許された。

電車に揺られ、最寄駅に着き、マンションに向かって歩き出す。

今夜はどんな夕飯を作ってくれてるのかな？

朱莉の手料理が、毎日楽しみになっていた。…ちゃんと、栄養が偏らないように、考えて作ってくれてることがわかるから、尚更嬉しかったりする。

玄関チャイムを鳴らすと、朱莉は玄関で必ず俺を出迎えてくれる。

鍵を持っていないのだから、当たり前なのだが、…本当は、カードキーのスペアは、書斎の引き出しに入っている。

だけど、こうやって毎日出迎えてもらいたいという小さな願いの為に、それは秘密にしている。

「…おかえりなさい」

そう言って、優しい笑みを浮かべた朱莉。

「…ただいま」

俺もそれに答え、笑顔で返す。

すると、夕方と同じように、また気恥ずかしそうに、そっぽを向いてしまった朱莉。…聞くなら今かな。

思い立った俺は、迷わず朱莉を抱きすくめた。
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表紙・目次

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