エリート同期は意地悪がお好き
昼休み。再度首に巻いているスカーフを結び直し、隠してみる。

・・・うーん、どうしても、隠しきれていない。

別に、悪いコトをしているわけじゃない。れっきとした彼氏に付けられたキスマークだ。

ここまで隠せないなら、もう開き直るしかない。

そんな事を思いながら、社食に向かうと、久美が手招きしているのが見えて、笑みを浮かべた。

…やっぱり、久美とのランチが私の癒しだな、と、再確認した。


「この間はごめんね」
「ううん、いいよ。久美、司にわざわざ連絡してくれたんだよね、ありがとう」

そう言って微笑む。

「そんなこと気にしないでよ。私だって、一人ぼっちのランチなんて嫌だしさ。…ところで、それ」
「・・・え?」

私のスカーフを指差した久美は、ニヤリと笑った。

「目立つところに、付けられたね」
「・・・う」

「しかも、結構な数」
「…言わないで、今日は、これで凄く困ってんだから」

そう言って苦笑いする。

「司、独占欲強いでしょ?…想像以上だけど」
「・・・ねぇ、やっぱり、なんか私に隠してない?」

「・・・」
私から、目を逸らした久美は、溜息をついて、降参したと言った感じで、重い口を開いた。
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