エリート同期は意地悪がお好き
「そうだったんだ。全然知らなかった。というか、私はてっきり、司に嫌われてたのかと思ってたもん。毎日のように、苛められてたし。嫌いなら、相手にしなきゃいいのにって思ってたくらい」

「不器用なのよ、愛情表現の仕方も」

…今は超直球の愛情表現をしてくる。…時には、このキスマークのように意地悪な愛情表現をする時もあるけど。


「片思いの期間も長かったし、尚更独占欲も湧くってもんよね。まあ、それも司の愛情表現の一つだと思ってあきらめな」

そう言って久美は笑う。

「…でも、このキスマークは、行き過ぎよね」

そう言ってまた苦笑い。

「…確かにね。朱莉だって、外で仕事してるんだから、少しは考えてくれてもいいとは思うけど」

そう言って、久美も苦笑いした。

…これは行き過ぎだけど、司がどれだけ私の事を好きなのかって言う事が分かって、私の気持ちも、増々増えた気がする。

「あ~あ~、そんなにカワイイ顔しちゃって、羨ましい」

そう言って久美はニコッと微笑んだ。

「だって、幸せなんだもん」
「はいはい、ご馳走様」

…食事を終え、社食を出た私たちは、ロビーを横切ろうとして、足を止めた。

掲示板に人だかりができている。

「どうしたのかな、ちょっと行ってみよう」

久美の言葉に頷いた私は掲示板の前に行く。

「ちょっとすみません」

その人だかりをかき分け、久美が前に進む。私もその後ろを何とかついて行くと。

張り紙が一枚あった。
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