エリート同期は意地悪がお好き
「…司…っ。もう、司も仕事サボってないでちゃんとやろうよ。…ぁ。今日は遅くなるから…ゴメンね」

語尾は小さく囁いて、私は仕事に取り掛かる。

「…お前はこれでいいのか?」

私の目線にしゃがみ込んで、司が言う。

キーボードを叩く手が止まる。…いいわけないよ。

でも…。

「…しょうがないよ。私はただの平社員なんだよ?上の命令は絶対でしょ」

パソコンの画面を見つめたまま呟く。

「…この異動は、どう考えてもおかしいだろ?いつもなら、通達した上層部の名前もないし。なんなら俺が「ダメ!」

…一瞬、オフィス内が静まり返る。

私は咳払いをした。

「…ごめん。…もういいから。…ヘタなマネはしないで。異動なんて、私一人でたくさんよ」

視線を司に向けて、微笑んだ。

「…無理して笑うなよ」

…司。…ううん。無理して笑ってないと、今の状況に押し潰されそうだから。

…ゴメンね、司は、私を心配してくれてるのに。

…、司は溜息をつくと、自分の仕事に戻って行った。
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