エリート同期は意地悪がお好き
…それから私は仕事に集中した。

今日の明日で異動なんて、急過ぎて、仕事が終わったのは、もう0時が近かった。

デスクの整理をして、明日朝一番に、書類を部長に渡して、このダンボールを持って、人事部に行くだけ。

ふぅ〜っと、大きな溜息をついた。

…あ〜、ダメ。まだ泣くな。ここは会社だ。誰もいないとはいえ、こんなところでは泣けない。

…カツカツカツ。

誰もいない静かなオフィスに、革靴の音が響く。

俯いていた私は、靴音の方へ目線を向ける。

「…帰るぞ」
「…」

そう言ってくれたのは、他の誰でもない。…司だった。

「…ボケッとすんな、ほら行くぞ」

片手は私のカバンと自分のカバン。もう片方の手は、私の手を優しく握り締めて、司は歩き出した。

…こんな時に優しくされると涙が出ちゃうよ。

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