余韻
あれから、もちろん私たちの間には何もなかった。
彼女は調子が悪いらしく同窓会を早々に切り上げて帰ってしまったのだし、私はといえば……かつての悪友たちからの手厚い歓迎を受けて酔いつぶれ、気がついたときには手配したホテルのベッドで目を覚ますというていたらくなのだから、何もありようがないのだ。
 しかし、あのとき違う答えを彼女に与えていたら、私たちは違う道を歩くことができたのだろうかと、今日でも思わなくはない。
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