おわりの音が響いた

 「トギ、お前は何か知っているか?この不毛な争いのことを」

 歩きながらセツナが問うた。

 「…壮絶な戦いのせいでいくつもの国が滅んだ。そのせいで憎しみが蔓延り世は荒れた。鬼の王位争いに巻き込まれたと人間は怒り、純血の戦いの犠牲になると鬼共も怒り、両者の溝は深まるばかりだね」

 「…なぜ十年も経って今更わたくしがよばれたのかわからない」

 「仲裁役として考えればいいんじゃない?」

 トギの呟きを最後に会話は終わってしまった。

 
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