おわりの音が響いた
「せっかく牢屋から出てきたのに一番に会いに行くのはやっぱり兄上か」
「年功序列です」
「それ以上の理由はない?」
「兄様にサダメ様が女体であると話さないわたくしの献身的貢献を評価してくださいな」
「まだバレるのは早い。男だろうが女だろうが関係ない。王位もどうでもいい。けど兄上が玉座にふんぞり返っている間は、僕がセツナに手出しできないから」
「傲慢な人。それだけが火種ですか?わたくしのこの身が欲しいという理由だけで十年も争いを?」
「狡い奴だなセツナは。力じゃ負けない自信はもちろんあったさ。ただ僕に統率力も信頼も集まらず争いに終止を打てない。決め手の掛けるこの戦いでセツナをあの薄汚い牢獄から引きずり出せた。やっと引きずり出せたのにどちらかを殺せだなんて、むごすぎる。セツナは僕を選ばないから僕は未だに女と明かせない」
「わたくしはただ不毛な争いを避けたい一心なのです」
「うそつき女狐」
「暴言には暴言を。狐はそちら」
「僕にも優しくして。セツナはいつも僕には冷たいから。冷たい牢屋よりベッドの方がいいでしょ。僕のおかげで地上に出られたんだから感謝してよ」
「はい、サダメ様のおかげでどちらかを手にかけることになりました」
「嫌なやつ」