おわりの音が響いた

1 鬼の世


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 これはとある時代のこと。

 鬼と人間が共存する時代のこと。

 鬼の王と呼ばれる一族がいた。

 その一族、名をセンノ。

 センノ一族は他の鬼とは異なるある特性を持っていた。

 それは愛するモノが出来るまで性別を持たない半陰陽(アンドロジニー)であるということ。

 ある時、センノ一族に三人目の子供が生まれた。

 名前はセツナ。

 鬼の子として強大な力を持ちすぎたセツナは上の二人の性が決まるまで牢獄へ幽閉となった。

 それ故にセツナは何十年もこの世に出てくることはないとされ、皆の心から忘れ去られていった。

 鬼の世界も人の世も、それで良くなるはずであった。

 だが、八十年の時を経て問題が起きた。

 上の兄コトワリと下のサダメとの間に亀裂が生じたのだ。

 サダメはまだ性が定まっていなかった。

 一族の王は男でなければならないという決まりから、性の決まらぬサダメがコトワリに戦いを申し出たのだった。

 
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