おわりの音が響いた
「そんな言葉わたくしにはもったいない」
固めのパンをかじりながらテンはトギを見た。
「新しい服」
「人のとはいえ王様にあうんだ。ボロキレは着ていけないよ」
「そのボロで鬼の王位継承予定二人に会ったのは誰だ」
「あれは王に会ったとはいえない。会ったのはお姫様だ」
「二人とも綺麗な人だった」
テンがセツナを見上げた。
「人の王に会うにあたり問われるでしょう。引き受けるかどうか。セツナ様はどうお答えになるのか教えていただけませんか?」
「俺も気になるねぇ。昨日見る限りじゃコトワリ様贔屓みたいだったけど。ま、サダメ様とのやり取りは聞こえなかったから憶測だけど」
三人の目がセツナに向いた。
俯き声を潜めたセツナが呟く。