おわりの音が響いた
「…生まれてから一度もこの世に出たことがないわたくしは無知だ、この世のルールも何も知らない。人と言う生き物の特性も書物の中でしか理解していない。だから、会って決める」
「会ってから…ねぇ」
意味深なトギの呟きにテンは俯いた。
「…人間は、ごうまんで勝手…みにくいいきもの。テンはきらい」
「まぁ、俺も人間は嫌いだな」
鬼と人は共存して生きてきた、それ故に醜い処がよく目につくのか。
トギとテンは人の話をするとき暗い顔をした。
「動物的な鬼と違い人は欲に忠実な生き物です。弱みを見せたら食いつかれる」
クレノも良いイメージを持っていないらしく、セツナは三人を見渡した。
「…鬼もさほど変わらない。自分勝手で利益に貪欲。この世に王などいない方がいい」
「俺達はいいけどさ、姫様は一応鬼代表だからなー。あまり滅多なことを口にしない方がいいぜぇ」
「どういうことだ」
「誰が聞いてるかわかんないってことだよ、坊ちゃまくん」
「センノの三人目、王がいなくていいとは本心か」
どこから現れたか、四人を武装した男達が取り囲んだ。
「ね、こうなるからさ」
困った様にトギが肩をすくめるのを見てクレノが舌打ちをした。