おわりの音が響いた
人の村を離れ、森の中。
大木に背を預けて目を閉じるセツナを残し、トギとクレノは水を汲みに離れていた。
「人の王は相変わらず傲慢だねぇ」
「会ったことがあるのか」
「俺は騎士だ、戦場には何度も出た。そこで耳にしたのは高台で支持するあの太った男。自分は高みで安全を保障され、騎士に死を伝える司令塔気取り。やな奴だね」
「…僕は会ったこともない。戦いに出たことも、外の世界を見たこともない…人のことは書物と話で聞いていた。思っていたよりも嫌な奴だ」
「英才教育を受ける坊ちゃんには刺激が強いかぁ?」
「そんなんじゃない…僕はただ無知なだけだ」
「代々一つの家系に仕えるってのがどんなものか俺にはわからねぇけど、大変じゃないとはおもわねぇよ」
「僕はセツナ様の従僕だ、それなのに人の王が知っている秘密すらしらない」
「何でもかんでも明かすのは従僕の役目か?」
「違う…だけど少なくとも僕には頼れないからセツナ様は何も言ってくれないんだ」
「俺たちは寄せ集め、そして期待もされていない。ただあるのは姫様を護るという任務だけ。それなら全力で守るだけだ。お前は俺よりも頭がいいし、機転も利く、今日みたいに俺が軽率な行動で姫様を追い込まないようにお前が手を貸せよ」
「…珍しく優しいことをいう…何か裏があるのか」
「かっわいくないねー、ぼっちゃんは!今日は世話かけたってことだろうが」
「…わかりにくい」