おわりの音が響いた

 「…テンは他より耳、いい」

 「二人の雄は?」

 「水をくみに」

 「そう」

 髪を撫でるサダメに、テンが口を開こうとした。

 「もう黙ってろ。じゃなきゃあっちいけ」
 
 「…テン黙ってる」

 「それでいい」

 セツナの腹に頭を乗せ、サダメは深く息を吸い込んだ。

 「…セツナ、目が覚めたらまた僕に冷たくするのか?兄上のせいで人間如きに侮辱されて僕のせいで傷ついて、それでもまだ外に出れてうれしいと笑うのか?人も鬼の世もくだらないことばかりだろ」

 「…サダメ、さま?」

 目を覚ましたセツナが起き上がろうとするのを阻止し、サダメがほほ笑んだ。

 
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