おわりの音が響いた
「セツナいい加減自覚しろ。お前は僕か兄上どちらかを選ばないといけない。僕を選ぶか兄上を選び僕を殺すか。どちらかしかない」
「…わかっています」
「わかってない。兄上に会いに行ったことも、僕と密会したことも、人の王との接見も全て皆に知れている。見張られているんだ。セツナに自由はない」
「…わかっています」
「じゃぁフラフラと出歩くなよ」
「だって、決められないのです。わたくしは弱い。どちらも選べない。鬼も人も、わたくしには縁のない遠いこと。二つの種族がどう対立しようともわたくしは永遠に牢の中。暗い鉄壁に身を寄せ、季節も感じず何も得ずただ生きながらえる。それでどうして何かを選ぶことができますか。兄様もサダメ様も選べぬのならいっそ手にかけてください」
すがる力ない手に、セツナは俯いた。
「お前のことを殺せるはずない。僕はお前にだけ生きていてほしいんだ」